悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「やっぱりお姉様って最高だわ」
 「ふふ、なぁに急に」

 思わず漏れた呟きに、姉が優しい微笑みを浮かべる。
 その微笑みが、姉を失う前の、何も知らずただ彼女に甘えていただけの日々の記憶を強烈に呼び起こして、胸が締め付けられる。

 「……私やっぱりお嫁に行くのやめる!」
 「えぇ!? 何を言い出すのよロベリア!」

 ガバッと抱きつく私に、姉がオロオロと困ったように言う。

 「シスコンもほどほどにしないと、宰相閣下が泣いちゃうわよ」

 呆れたようにヴェロニカが言うが、今はそれどころではない。
 これまでずっと気を張っていたのもあって、姉に甘えたい欲求が臨界点を超えていた。

 「……泣きはしないが、エミリオ殿下に八つ当たりくらいはするかもな」

 突如聞こえた声に、慌てて振り返る。
 そこには苦虫を噛み潰したような顔のルキウスと、申し訳なさそうに身体を縮めたメイドが立っていた。

 「お待ちくださいとお願いしたのですが……」
 「いいのよ」

 乱入者を止められなかったと謝るメイドに、姉が優しく笑いかけ下がらせる。

 「……乙女のお茶会に断りもなく参加されるなんて、いくら宰相閣下といえど少し横暴なのではなくて?」

 動揺を隠して強がると、ルキウスは責めるような目でじっと私を見た。

 「な、なによ」
 「アイリス様」

 沈黙に耐えきれず発した私の言葉を無視して、ルキウスは姉に向き直る。

 「はい、なんでしょう」

 姉は微笑ましそうに目を細めてルキウスの視線を受け止める。

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