悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「あの子、ショックで今頃泣いてるわ」
 「あなたって本当に頭がいい」

 他の取り巻きたちに褒められ、ヴェロニカは「大したことないわよ」と言いつつも得意げな顔で鼻を膨らませている。
 可愛らしいものだ。

 「それにしても陛下ったら。すぐ新しいものに飛びつくんだから」

 しょうがない人、と余裕の心持ちで嘆息する。
 陛下は移り気な方だ。新人が来るたびに数日、長くても数週間通い詰めてはすぐに飽きてしまう。
 どうせまたすぐにわたくしのもとに戻ってくるのに。
 それが分かっていたから、後宮では珍しいタイプのアイリスに興味津々でも落ち着いていられた。

 最後に勝つのはこのわたくし。
 それはこの後宮に入ることが決まった十年前に約束されたようなもの。
 公爵令嬢のこのわたくしが、名実ともに次の正妃に相応しいに決まっている。陛下が後宮という遊び場に飽きたら、正式に打診があるはず。

 中途半端な貴族の娘や顔がいいだけの庶民の娘なんて敵ではない。
 今夜後宮入りする新入りだって、物珍しさだけで陛下の目に止まっただけ。

 「どうせすぐに飽きるのに」
 「男の人ってそういうところあるわよね」

 したり顔で頷きあう取り巻きたちを冷めた目で見る。
 陛下の訪れは片手で数える程度の「その他大勢」でしかないのに、わたくしの周りに侍ることで自らの価値も上げたつもりの、中級止まりの娘たち。
 この子たちに比べれば、アイリスを手札に加えた方がマシだったかしら。
 今夜その機会を逃したとはいえ、いずれ上級に昇格することは確実だ。
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