悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「他の女官と仲良くする必要なんてある?」

 女が煩わしそうに顔を顰める。案内役の女官は困ったように眉尻を下げて、言いづらそうに口を開いた。

 「それは……その、後宮で快適に過ごすためには、ある程度必要かと」
 「そうしないといじめられる、とか?」

 揶揄するような言い方で室内の女官たちを見回し、最後にわたくしで視線を止めた。
 女は立ったまま、対するわたくしはソファにゆったり腰掛けていて、自然と見下ろす形になる。

 目が合うと女は微笑んだが、とても友好的なものには見えない。

 「い、いえ、そのようなことは……」

 下級女官が焦ったように否定する。
 なぜそんなにもへりくだっているのか。万年下級とはいえ、在籍歴も年齢もその女より圧倒的に上だというのに。
 
 「本当に? この人とか、すっごく偉そうだけど」

 わたくしを指差して女が言う。

 「ちょっ、しっ、失礼ですよ!」
 
歯に衣着せぬ物言いに、下級女官が泡を食って止めに入った。

 「ちょっとあなたっ」
 「よろしくてよ」

 短気な取り巻きの一人が、言い返そうとするのを静かに制す。

 「偉そうなのではなく、偉いのです」

 にっこり微笑んで無礼な新入りに返す。
 この余裕の態度が気に食わなかったのか、新入りが鼻白んだように片眉を上げた。
 礼儀を知らぬ小娘が、何を吠えようとわたくしの立場が危うくなることなどない。身の程を弁えさせるには、最初が肝心だ。

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