悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「わたくしはカリスティア公爵令嬢のイレーヌと申します。この後宮の実質的な取りまとめ役、とお考えになって結構よ」

 強者の余裕で自己紹介をする。
 反論する者は誰もいない。
 出自も美貌も教養も、何より陛下の寵愛も、この後宮内でわたくしがトップだからだ。
 それはこの新入りが入ってきても、決して揺らぐことはない。絶対にだ。

 「分からないことはなんでも聞いてちょうだい、新人さん」

 そう言って右手を差し出して握手を許してやる。
 彼女はその手とわたくしの顔を何度か見比べた後、ニヤリとやはり下品に笑った。

 「ありがとう。そうさせていただくわ」

 ガシ、と乱暴に握り込まれて、指先に痛みが走る。

 わたくしの身分に怯むこともおもねることもなく、彼女は強気に笑う。
 もしかしたら庶民というものは、貴族の序列というものがまったく分からないのかもしれない。

 「あたしはロベリア。ただのロベリアよ」

 雑に名乗って手を放す。己が目の前の人間より遥か下の存在だと、気づくこともできないほどに愚かなようだ。

 「よし、じゃあナンバーワンさんに挨拶もできたし、次はあたしの部屋に案内してくれる?」

 ロベリアと名乗った女は、挨拶を終えた瞬間わたくしから興味を失ったように下級女官を振り返った。

 「自分の部屋ですって」
 「まぁ自分の部屋といえばそうなのではなくて?」

 その言葉を聞いて、呆気にとられたように黙っていた取り巻きたちがクスクス笑い出す。

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