悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「あんなベッドがぎっしりの大部屋、庶民の宿と一緒じゃない」
 「あら、庶民の出身なのでしょう? 馴染み深くてきっと落ち着くはずよ」

 あからさまに馬鹿にした態度に、しかしロベリアは気分を害したふうもなく、むしろ勝ち誇ったように傲然と微笑んだ。

 「あたし、個室をもらえるみたいなの。陛下が特別にって」

 ラッキー、とごく軽い口調でロベリアが笑う。それがどれだけ異例のことか、理解もせずに。

 「なっ……! う、嘘よ!」
 「何かの間違いよね? ね、そうよね?」

 引きつった笑みで取り巻きたちがロベリアの案内の女官に問う。
 個室を与えられるのは、陛下からの慰みを与えられただけではなく、特別な寵愛を得た上級女官だけのはずなのに。

 「本当なの?」

 わたくしはその答えを待つように彼女をじっと見つめた。
 だけど、本当は分かっていた。彼女が案内役をさせられているという事実が、ロベリアの言葉の何よりの証明だと。

 「……はい、陛下より直々に申し付かりました」

 女官は答えづらそうに目を逸らしながら、それでもハッキリとそう答えた。
 チリリと、お腹の奥の方で何かが熱を帯びたような感覚があった。

 「……そう。陛下の気まぐれにも困ったものね」

 その熱をかき消すように、にこりと笑って立ち上がる。ここで取り乱すような狭量な人間ではない。
 どうせいつもの陛下の気まぐれだ。

 「もしかしたらお隣同士かも。改めてよろしくね、ロベリアさん」
 「ええ、よろしく、イレーヌ」
 当然のように呼び捨てにするロベリアに、さすがに頬が引きつる。

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