悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「ちょっとあんた! 無礼にもほどがあるわよ!」

 あまりの暴挙に、特に私に心酔している取り巻きの一人が声を荒らげる。

 「リュシーさん、わたくしのために怒ってくれるのは嬉しいけれど、落ち着いてちょうだい」

 苦笑しながらやんわり止める。
 自分以上に怒っている人間を見たおかげで、すぐに頭が冷えた。

 「よろしくて? ロベリアさん。庶民の方には難しいかもしれないけれど、貴族には……王宮には、明確な序列がございます」

 まっすぐにロベリアの目を見て、少し口調を強めて言う。
 たとえ個室からスタートすると言っても、陛下に相応しい女性になるためには必要な教養だ。
 どうせこれからの教育期間で習うことになるのだし、わたくしが先んじて教えてやるのも悪くはない。

 「ここでは、公爵令嬢で上級女官でもあるわたくしが一番上なの」

 子供に言い聞かせるようにゆっくり言うと、ロベリアは不貞腐れたような顔でムスッと黙り込んだ。

 「この子たちは教育期間を終え、一度は陛下の寵に与ったことのある中級女官。あの子はわたくしと同じ上級女官。今ここにはいないけれど、上級女官はあと五人いるわ。中級女官も、教育期間中の者を含めれば把握しきれないくらいいる」

 談話室をぐるりと見回しながら説明する。
 ここにいるのは後宮に勤める女官のほんの一部でしかない。その大勢の女官たちの中で、ロベリアは誰よりも下なのだ。

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