悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~

▽ロエル・ラスセルト

 「もう行ってしまわれるのですか? ロエル様」

 ベッドのふちに腰掛け早々に服を着こんだオレを見て、イレーヌが恨めし気に言う。

 「仕方ないだろう。父上に見つかったら処刑されてしまう」

 苦笑しながら振り返ると、イレーヌがまだ熱の冷めない目でじっとこちらを見ていた。
 まずい、この表情は面倒なことを言い出すサインだ。

 「また新入りが入ったんだって?」

 咄嗟に話題を変える。
 気だるげに寝そべっていたイレーヌは、途端に不機嫌そうに眉根を寄せた。

 汗で額に前髪が貼りついているのが色っぽい。
 二十五歳で全盛期を過ぎてしまった感はあるけれど、二十八を目前にしてもやはりまだまだいい女だ。

 「はぁ……まったく殿下は本当に陛下に似てらっしゃるわね」

 呆れたように言いながら、イレーヌが起き上がる。
 自分に自信があるのだろう、裸体を隠しもしないところも割と気に入っている。

 「そう? 父上よりずっといい男だと思うけど」

 腰に腕を回し抱き寄せると、イレーヌは抵抗することなく身体を寄せて、ペタリとオレの肩に頬をのせた。

 「政務より後宮通いに忙しくて、新しい女に興味津々」

 珍しく責めるようないじけた口調だ。何か気に食わないことがあったのだろうか。

 「心外だ。オレは後宮通いじゃなくてイレーヌの部屋に通うので忙しいんだよ」
 「もう、調子がいいんですから」

 新しい女に興味津々というところは否定せずにご機嫌取りをする。
 イレーヌは少し唇を尖らせながら、上目遣いにこちらを見上げてきた。
 目元がほんのり赤くなっている。どうやら上手くごまかされてくれたらしい。

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