悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~

 「よ、ようこそお越しくだ……」

 慌てて頭を下げようとするが、入ってきたのが陛下でないと気づいて動きが止まる。

 「陛下じゃなくてごめんなさいね?」

 姿を現したのは、後宮に住まう美しい女性たちだった。

 「イレーヌ、様」

 顔が強張らないよう、なんとか笑みを浮かべる。
 イレーヌは勝ち誇ったような顔で、背後に数人の女性を従えている。
 彼女たちもイレーヌとよく似た、嘲りを含んだ微笑みを浮かべていた。

 「エミリオ殿下から伝言を預かったの。入ってもよろしくて?」
 「ええ、もちろんです」

 イレーヌは私の返事を最後まで待つことなく、取り巻きを引きつれて私の前まできた。

 「陛下は新入り見物に行って、今夜はいらっしゃらないそうよ」

 同情に見える表情を精一杯装ったのだろうけど、その言葉の端々にこらえきれない笑いが滲んでいる。
 私の反応をじっくり観察したくてわざわざ近づいてきたのだろう。

 「そう……ですのね」

 私はホッとしてしまったのを悟られないよう顔をうつむけ、小さく肩を震わせながら振り絞るようにそう言った。
 それがよほど哀れに見えたようで、取り巻きたちがクスクスと忍び笑いを漏らす。
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