悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「やあルキウス。相変わらず疲れた顔をしているな」
 「……ロエル殿下」

 ノックもなく第一王子が会議室に入り、書類の散らばる机にどかりと腰を下ろす。

 「父上はここだって聞いたんだけど」
 「会議は終わりましたので」
 「サインが要る書類、山ほど残ってるのに?」

 署名欄が空欄のままの書類を得意げに突きつけてくる。

 「殿下の未決裁も山ほどございます」

 こちらも負けじと涼しい顔で突き返した。

 「おっと、藪蛇だったかな」

 殿下が肩をすくめる。
 義務を果たさず女遊びばかりの放蕩王太子。
 彼が陛下に隠れて後宮通いをしているのは把握済みだ。

 父親の『お手付き』を自分が拾っても咎められまい、という心算なのだろう。
 初夜を済ませた女官の元を訪ねては、半ば脅しのように我がものとする。
 まるで無料の娼館通いだ。

 親と女を共有する背徳で昂る趣味の悪さは、実に遺伝の力に他ならない。
 まったく、最低なところばかり似やがって。
 頭の中だけで悪態をつく。
 宰相職についてから、ずいぶんと罵倒のバリエーションが増えた。もちろん脳内だけに留めてはいるが、我ながら由緒正しき公爵家の人間としていかがなものかと思う。

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