悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「殿下からもお諫めください。庶民の娘にうつつを抜かしている場合ではないと」
 「ああ、やっぱりご執心なんだ。どんな子だった? もう抱いたって?」

 あけすけな質問に眉根が寄る。

 「お答えしかねます……そもそも私は、まだその娘を見てもいませんので」
 「は? 冗談だろ」
 「陛下や殿下の穴埋めで、離宮の見回りに割ける時間がないのです」

 皮肉を笑顔に包んで返すと、殿下は気まずげに視線を泳がせた。

 「ですが管轄外のロエル殿下の耳にまで届くほどとは。一度足を運ぶ必要がありそうですね」

 殿下の尻に敷かれた書類を集めて束ねながら言う。

 「私は離宮へ向かいますので、殿下はこちらに署名を」
 「……わかったよ」

 有無を言わせぬ笑顔で書類束を押し付けると、殿下が諦めたように嘆息した。

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