悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「少し会えないくらいの方が、ずっとあたしのことを考えてくださるでしょう?」
 「う、うむ……それは、まあ」
 「まだ先は長いんだもの。焦らないで」
 「そ、そうか。ふふん、余の手にかかれば決裁など一瞬だがな」

 得意満面の陛下があっさり頷く。
 見事に躾けられた犬を見ている気分だ。

 「ではゆくぞルキウス。はようせんか」

 いそいそと立ち上がり偉そうに急かされて、思わず舌打ちが出そうになる。

 「あら、宰相様はあたしのお話し相手をしてもらわなくてはダメよ」
 「な、なんだと?」

 ロベリアの言葉に陛下が固まる。ものすごく嫌そうだ。
 お気に入りの女官が他の男とお喋りに興じるなんて、面白くないだろう。

 「陛下が戻られるまで退屈なんですもの。ね、いいでしょ?」

 甘えるようにロベリアが言う。
 この女は一体何を企んでいる。私を暇つぶしの道具か何かだと思っているのか。

 生憎だが、私がついていないと陛下はどの書類にサインすべきかも分からないのだ。

 「いえ、私は陛下に――」
 「必要ない。お前はロベリアが退屈せぬよう、ここで道化でも務めておれ」

 断ろうとするのを陛下に遮られ鼻白む。
 ロベリアにいいところを見せたいばかりに、後先考えない発言があまりにも多い。

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