悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「遊んでばかりいると、国王をクビになっちゃうわよ?」
 「愛いやつよの。王はあくせく働かねば生きていけぬ庶民とは違うのだ」

 可愛い勘違いを正してやると、ロベリアは「本当に?」と大きな目を瞬いた。

 「そうだとも」

 王とは神に選ばれた存在。その座は誰にも奪えぬ。
 退屈な政務はルキウスのような堅物がやればいい。臣下はそのために存在している。
 頂点に君臨する余は、この国に存在するだけで尊崇を集めるのだから。

 そんな天上人ともいえる余に気に入られているのだから、分かりやすく浮かれて然るべきなのに。
 ロベリアは何を与えても「まだ足りない」という顔をする。

 祖母が好んだ真珠の首飾り。
 父の代に献上されたサファイアのブローチ。
 余の即位式に亡き妻が仕立てた、金糸の縁取りが美しいドレス。

 どれも宝物庫から運ばせた希少な品々ばかりだ。
 喜ぶ顔が見たくて贈っても、ロベリアは不服そうに唇を尖らせる。

 「綺麗……でもこんな高そうなもの、また宰相様に怒られるんじゃない?」

 おさがりが気に食わないのかと新調したドレスを前に、ロベリアが揶揄するように笑う。
 庶民の稼ぎでは一生かけても手の届かぬドレスを前にしても、彼女は動じない。

 「またあやつの話か……」

 うんざりして呟く。
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