悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「あの女をなんとかしてくださいまし!」

 夜の帳が降りた後、わたくしの部屋を訪ねてきたロエル殿下に訴える。

 ロベリアはあまりにも常識知らずで無礼だ。
 リュシーのあからさまな侮辱に眉ひとつ動かさなかったのを見るに、娼館で働いているというのは案外事実なのかもしれない。
 そんな女を、未来の国母を選ぶための神聖な後宮に居座らせたら、風紀が乱れてしまう。

 陛下が誘惑に乗らずきちんと規則を守っているのは意外だったが、それもこのままでは時間の問題だ。

 「またその話か……」

 服を脱ぐ手を止め、ロエル殿下が眉根を寄せてため息をつく。

 「言っただろう。父はこの国の支配者で、誰も口出しはできないと」

 はだけていたシャツを着直しながら、わたくしに覆いかぶさっていた身体を起こす。

 「……続きはなさらないの?」
 「無関係の女の話を持ち出されて冷めた。今日は帰るよ」
 「そんな! わたくしはただこの国のためを思って!」

 きっちり服を着こんでベッドから降りるのを見て、慌てて弁解する。

 「感情的なおまえは好きじゃない」

 ゾッとするほど冷たい表情で言われて、引き留めようと伸ばしかけた手が止まった。

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