悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~

▽セルヴァン・ラスセルト

 公務も面倒な書類作業も終えて、離宮に続く長い長い廊下を歩く。
 一日の面倒ごとをこなして疲れてはいたが、足取りは軽かった。

 今日は待ちに待った解禁日だ。
 半年前に後宮入りしたアイリス・ガーランド。
 少女時代を終えたばかりの透き通った美しさを持つ、ガーランド伯爵家の娘。
 ようやくこの手に抱けるのかと思うと、自然と口角が上がる。

 まったくルキウスめ。つくづく融通のきかん男だ。
 貴族出身の娘なら半年間の教育期間など必要ないと何度も言ったのに、決まりですからと少しも譲らない新米宰相。
 腹立たしいことに、あいつのせいでいつまでも後宮の面倒なルールを廃止できないでいる。

 ルキウスさえいなければこの窮屈な王宮も少しはマシになるというのに。
 王家と並び立つほどの権力を持ったヴァーミリオン公爵家の人間に下手に手出しすれば、内戦が勃発しかねないから厄介だ。

 「父……陛下、こちらにおられましたか」

 お堅い宰相を忌々しく思っていると、第二王子のエミリオが困った顔で駆け寄ってくる。
 待ち合わせ場所にいないことに焦ったのだろう。我が息子ながら辛気臭い顔をしていてうんざりする。

 「お一人で出歩かれては危険です。ルキウス殿はご一緒ではないのですか?」
 「ふん、あやつは余が押し付けた仕事を片付けるのに手こずっておる」

 離宮までの供をさせる予定だったが、クドクドとルールの再確認をされてはたまらんと、まいてきたのだ。
 せせら笑うように言うと、エミリオが湿っぽい顔で嘆息した。
 
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