悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「何か文句でもあるのか?」

 挑発するように言うと、エミリオは慌てたように「とんでもない」と首を振る。
 従順なだけが取り柄の息子だ。文句など、あっても逆らう気がないのは分かっていた。

 「アイリスは準備できているのだろうな」
 「……ええ。万事問題ありません」
 「そうかそうか」

 エミリオの言葉に自然と笑みが広がる。
 去年の王宮主催パーティーで見初めてから半年以上も我慢してきたのだ。ようやく本懐を遂げられると思うと、エミリオの不景気な顔もルキウスの小言もどうでもよくなった。

 「結構。ほれ、早く案内せんか」

 後宮には何度も足を運んでいる。寝所の場所を知らないわけもないが、面倒な前口上や建前をいちいち聞かされる前にそう急かす。
 案の定エミリオはあきらめたように短く嘆息した後、「ではこちらへ」と離宮に向かって歩き出した。

 「後宮は平穏か?」

 息子の陰気さに耐え切れず、当たり障りないことを口にする。
 あそこは女の戦場だ。平穏であるはずもない。
 だが余の正妃の座を争ってギスギスしている女どもの話を聞くのは嫌いじゃない。

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