悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「ええ、まぁ……相変わらずイレーヌ殿が優勢です」

 それを知っているエミリオは、歩きながら後宮での醜い争いを淡々と報告する。

 「ああそれと」

 エミリオはぴたりと足を止め、こちらを振り返った。

 「バルメロ侯爵が後宮入りを後押ししたという、例の街娘がもうすぐ到着するとか」
 「ほう」

 興味をそそられてこちらも足を止める。
 余に気に入られたくて仕方のないバルメロ侯が、先日興奮気味に「素晴らしい娘を発掘いたしました」とすり寄ってきた。
 バルメロは冴えない男だが、女の趣味だけはいい。今後宮にいる余のお気に入りの、半分以上はヤツが見つけてきた者たちだ。

 もちろんご機嫌取りだけでなく、女たちの後ろ盾になることで優位な立場を築こうという目的だと知っているが、余にとっても都合がいい。
ただ待っているだけで、後宮という鳥籠に好みの女が増えていくのだから。

 「そういえばそんなことがあったな」

 そんな男が、なんの利にもならない庶民の娘を推すとは珍しい。
 一体どれほどの美しさだというのか。興味をそそられ、ルキウスの反対を押し切って許可したことを思い出す。

 「街娘ですので、まずは下級女官として勤めさせます。陛下にお目見えするのは最短でも一年後でしょう」
 「分かっておる」

 口ではそう返しつつ、胸の内側で好奇心が膨らんでいく。

 「だが後宮入りの際に偶然対面するのはルール違反ではないな?」

 ニヤリと笑って足早に歩き出す。
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