悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 きっとこれは神に架された試練だ。父上を退け、ロベリアを心ごと手に入れるための。

 考えろ、考えろ、考えろ。

 彼女を手に入れるための道筋だけが、頭の中でぐるぐると回り続ける。

 「ひゃあっ」

 角を曲がったところで、水の入ったバケツを持った女官と出くわす。
 年端もいかぬ幼い娘だ。下級の小間使いだろう。
 夜中だというのにまだ働いていたらしい。考え事をしていたせいで直前まで気づかなかった。

 「あの、えと、大変申し訳っ」

 オドオドと視線をさまよわせるのを見るに、オレが誰か分かっているのだろう。

 「来い」
 「えっ、いえ、私は、きゃっ」

 有無を言わさず手首を掴み引き寄せると、バケツがバシャっと音を立てて落ちた。
 カーペットがびしょ濡れになるがどうでもよかった。あとで気づいた誰かが片付けるだろう。

 今はこの少女の身体を好きにすることで、イレーヌへの怒りを発散させたかった。

 「いや! いやです! やめてください!」

 叫ぶのを無視して、父が女官を犯すための寝所へと引きずり込む。
 扉が閉まる音のあと、言葉は要らなかった。

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