悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 ロベリアに相応しい国。
 言われるまでもない。

 金で装飾された調度品。一級の職人に作らせたアクセサリー。各国から選り集めた絹糸を贅沢に使ったドレス。
 結婚式で国民が大喜びするような、派手できらびやかなものを揃えよう。

 金がかかるが仕方ない。ロベリアのためだ。
 増税など容易い。余の決めたことに逆らう者などいないのだから。
 この比類なき美しさを誇る妃のためなら、喜んで差し出すだろう。

 ルキウスが何を言おうと、もう聞く気はない。
 余は教育期間を耐え抜くのだから、それで十分だろう。むしろ今までよく耐えたと、称えられてもいいくらいだ。

 「あと半年。待たせてしまうが、教育期間だけは守らねばならぬ。うるさい男がおるのでな」
 「王としての務めをしっかり果たしていたら、すぐにでも認められたかも」

 拗ねた子供のような声音で、やんわりと刺してくる。だがそれさえも甘い。

 「ははは、そなたの言う通りだな」

 未来の話を急かされる喜びに、余は頷くばかりだ。

 ふと、また胸の奥で危険を告げる鐘が鳴る。
 今度は気のせいではない。
 視界の端で、何かがきらりと光ったのだ。

 嫌な予感がして立ち上がる。
 ロベリアの視線が追いかけてくるのを感じたが、説明する余裕はなかった。

 絨毯の縁に膝をつき、冷たい金属の感触を確かめるように指先で拾い上げる。

 小ぶりな飾り金具。
 そこに刻まれた精巧な紋章。
 見覚えのある意匠だ。

 間違いない。
 これはロエルだけがつけることを許された、王太子であることを証明する徽章だった。
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