悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「あやつめ……そう言って後宮に入り浸っていたのだな?」
 「ええ。特にイレーヌ様のお部屋から出て来られるのを見かけるわ。イレーヌ様も『後宮の取りまとめ役』と仰っていたから、てっきり報告会でもされているのだと……違うの?」

 ロベリアの声音は怪訝そのものだ。
 つまり、あの不届き者は我が物顔で後宮に出入りしているのだ。
 そしてずっと余のものを掠め取っていた。もちろんイレーヌだけで済むはずもない。あの男はきっと、あちこちに手を伸ばして――。

 いや、それはもういい。他の女には好きなだけ手を出せばいい。
 だが。

 「……そなたは、何か言い寄られはせなんだか」

 問いの形をとりながら、息が荒くなるのを自覚する。
 もし、万が一、指一本でもロベリアに触れるようなことがあれば。

 今すぐにでも血の繋がった息子を殺せるだろう。
 目をギラつかせ答えを待つ余に、ロベリアがくすりと笑った。

 「あなた以外になびくとでも?」

 その一言で、余は息を吐いた。
 ロベリアはあのような薄っぺらい男など、相手にもしておらぬらしい。

 激しい安堵のあと、入れ替わるように怒りが再び膨れ上がる。

 油断ならぬ。
 誰もがロベリアを狙い、虎視眈々と余を出し抜こうとしている。

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