悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 こうなってくるとルキウス。あの男も怪しいのではないか。
 何度も懲りずに「女に入れあげ政務を怠るな」と、口を酸っぱくして責めてくる。

 だが、もしそれがロベリアを狙ってのことだとしたら。
 余を外に引きずり出し、隙を作らせ、奪おうとしているのではないか。

 もしやエミリオもそうなのか? 
 前王妃に似て遊びのないつまらぬ男だと安心して後宮を任せていたが、それも間違っていたのだろうか。

 一度疑い出したら止まらなかった。

 「陛下……?」
 「よい、心配するな」

 頭を切り替えるように言って立ち上がる。
 ロエルの徽章を拳に握り潰す勢いで握りしめ、ロベリアに向き直る。

 「ロエルの出入りは断つ。王妃就任にも、ルキウスに口出しさせぬようにする。そなたはここでただ待っていればいい。余がすべて整えるのを」

 ロベリアは頷き、瞳だけで笑った。

 「期待しているわ」

 その微笑みで、決意は石のように固まる。

 教育期間が終わったらすぐ。いや、それすら待たずにロベリアを王妃に迎えよう。
 まずは大臣どもを黙らせる口実を整える。
 法を書き換え、徴税は段階的に。宝飾工房も拡張しよう。衣装部屋の増築も必要だ。
 そうしてロベリアに相応しい国へと変えていく。

 それと同時に、ロエルの権限を削いでいく必要もある。
 あれには好き放題させてきたが、間違っていた。間違いは正さねばならぬ。

 胸の底で、怒りと希望が混ざり合って煮え立っている。

 扉の前で振り返る。
 ロベリアは窓辺に腰掛け、光を背に輪郭だけを輝かせていた。

 あれは余のものだ。誰にも渡さぬ。誰にも。

 改めてそう強く決意した。
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