悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 紅茶を淹れ終えたリュシーが、堪えきれないとばかりに勢いよくソファに腰を下ろし、期待に満ちた子供のように身を乗り出した。

 「ロエル殿下ってイレーヌ様のところに通ってらっしゃいましたよね? 最近は足が遠のいていたようですけど……もしかしてロベリアさんに取られてしまったのかしら?」

 はしゃいだ声で下世話な詮索を、恥じることもなくしてくる。

 ロエル殿下との関係はヴェロニカにしかしていなかったはずなのに、どうしてリュシーが。
 愕然としてヴェロニカを見ると、彼女は邪悪な笑みでじっとこちらを見ていた。

 まるでわたくしの反応を見るのが、楽しくてしかたないとでもいうように。

 「あら、私は後宮に入り浸っているのが陛下にバレて、謹慎させられていると聞いたわ」
 「後宮の監視体制を厳しくしたらしいじゃない。守衛室の兵士の数が増えてたのを見たから、きっと本当よ」

 ぺちゃくちゃと唾を飛ばしながら取り巻きたちが騒ぎ立てる。

 殿下が謹慎? 監視の強化?

 知らない情報ばかりだ。わたくしが人目を避けている間に、状況は目まぐるしく変わっていたようだ。

 「でも、おかしいですわね」

 ヴェロニカがもったいぶるようにゆったりとした口調で言う。

 「ロエル殿下でしたら、昨夜も私のところへいらっしゃったのに」

 臓腑が焦げ付くように激しい熱を帯びる。
 この女は、これが言いたくて堪らなかったのだ。

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