可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 面白いことならぜひ参加させてくださいとのことで、騎士たちも協力してくれることになった。

 アイリスの計画書の写しを場にいたみんなで作り、いったん解散となった者たちの手で、邸宅中に広げられていく。

 厨房のほうでも、コックたちはヴァンレックが食べられるおやつを作ると意気込んでいたらしい。彼は好き嫌いはそうないみたいだが、長居できる品のほうがいい影響を与えそうだとアイリスも思った。

「ここまで使用人側も旦那様にかかわるのは、初めてです」

 書斎にまで協力に挨拶をしに来てくれた料理長に感謝を伝えたあと、出ていくのを見てふっとブロンズが呟いていた。

(そういえば主人と使用人は、きっちり距離感があるみたいなのよね)

 来たばかりに感じたことを思い出した。

 でも『大公の邸宅』であるのなら、珍しいことではないのかもしれない。

 アイリスは午前中でできる限りのことを終わらせてしまおうと、まずは目の前の手紙の返信作業に集中した。


 ――だが、想定外のことが起こった。
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