可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
(さすがにコレは、私でも予想できないってばっ)

 書斎机にかじりつくようにして向かっていたアイリスは、次に顔を上げた時、窓の外の光景にあんぐりと口を上げた。

「……雪?」
「はい、雪ですね」

 ブロンズは当たり前のように答えたが、ありえない。

「まだ十月にもなっていないけどっ?」

 思わず立ち上がって窓に駆け寄る。

 空からふわりふわり落ちていく雪の下を見て、アイリスはさらに驚愕した。すでにほぼ白くなりかけていたのだ。

「…………」

 つい、言葉が出なかった。

「奥様、この地の冬は長いと申し上げました。始まりも当然早く訪れます」
「それで衣装部屋の冬仕込みをしていたわけね……」

 見かけた際に、ずいぶん早いなとは感じていた。

 しかしここでは、秋が来たかと思ったらすぐに冬がやってくるのが常識だったようだ。

 アイリスは、極寒の地という言葉の意味を正しく理解できた気がした。


 雪はみるみるうちに大地も建物も白く覆っていった。

「こうも穏やかにどんどん雪たけが積もっていくなんて」
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