可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「あの……よろしければお教えてしますわ」

 メイドの一人がおずおずと申し出てきた。

 アイリスは、彼女たちの切ないような心配するような表情を見て、学ばせてもらえなかった可能性をすでに見越していることに気付いた。

 それでも詳細は尋ねないでいてくれている。

「ありがとう」

 アイリスは、うまく微笑めないまま心から感謝を伝えた。彼女たちが主人に対して仕える身であるという心意気を持った、優秀なメイドたちでよかった。

 神獣は、獣人族の守り神だ。

 王族にとっての始祖でもあるといい伝えられていて、神獣は王家が大事にしている家宝の玉から、一頭ずつ誕生するという。

 一頭が天に昇って本来いるべき場所へ帰っていくと、長い時間のあと、子神獣がヴァルトクス家のもとに訪れる――という仕組みであるとか。

(不思議な力を持っていて守護と繁栄を司る、か)

 メイドたちの話はとても勉強になった。

 獣人族が安心して暮らせる土地を作ったのは神獣であると、獣人族の彼女たちは生まれた時から教えられているそうだ。
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