可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 アリムは本気で『パパ』に勝ちたいようだ。自分よりも立派なものを作らないで、と理不尽にも訴えかけている。

(そこまでして私にいいところを見せたい、と……)

 ヴァンレックが目の前で普通に話している様子も新鮮だった。

 怖い大公様、という印象は微塵も感じない。

(冬用の軍服もあるのね)

 雪が降りそうだと想定していたのだろう。ヴァンレックの軍服のコートは普段より厚めだった。黒い手袋も防寒性に優れていそうだ。

「パパもアイリスに褒められたいんだねっ?」
「なっ、ち、違うぞっ。別にそんな……だからっ、雪を取っていくんじゃないっ」
「目を離したパパが悪いー!」

 あははと声を出してアリムが笑う。

 彼を持ち上げたヴァンレックは、まったく困った奴だと顔に出ていた。

(これはこれで親子らしいわね)

 いったいなぜ、ヴァンレックが積極的に加わったのかは謎だが、競い合っているアリムはアイリスだけの時より楽しそうだ。

(ま、いっか。父と子らしい触れ合いよね)
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