可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 すると、ヴァンレックはむすっとしたように言う。

「夫人の役に立てるのなら嬉しいとか。他の部下たちも、作り始めたのを見た時には、材料集めに自分たちで動いていたようだ」
「そう、だったんですか」

 通りで用意がいいと思ったら、ヴァンレックが声をかける前には材料集めが始まっていたらしい。

「アリム、腕ならその長い枝のほうが――」
「パパは口出し不要っ」
「そんな勇ましさをいつの間に身に着けて……あ、夫人、ニンジンの向きはこうだ」
「あ、はいっ」

 やはりヴァンレックは二人の面倒を見ていた。

(放っておいてくれてもいいのに)

 律儀、な人なのだろうか。

(私は『悪女』なのにな)

 この世界で優しくされるには、遠く離れて新しく人生をスタートしなければならないと思っていた。

 だから、なんだか耳先が熱くなるようなくすぐったさを覚えた。

 三人の雪だるまは、ほぼ同時に仕上がった。ヴァンレックは手慣れていたが、彼はアイリスとアリムの進行具合を見守っていたので当然だろう。
< 125 / 381 >

この作品をシェア

pagetop