可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「見てアイリス! うまくできたでしょう?」

 アリムが腰に両手をあて、えっへんと胸をはる。

(――か、かわっ)

 アイリスは可愛いと頭に浮かんだ拍子に、動くことを忘れてしまった。

「夫人」
「はっ」

 声が聞こえたほうに顔を向けると、ヴァンレックが横目に見ていた。

 なんだか彼の『夫人』という丁寧な呼びかけも、妙にくすぐったい気持ちにさせてくる。

 アイリスはパッとアリムのほうへ向き直った。

「そ、そうね、とっても上手よっ」

 しゃがんで目線を合わせて答えた。

 アリムの目が輝きと共に見開かれ、ふわふわの銀色の尻尾が左右に激しく揺れる。

「僕が一番っ?」
「ふふっ、アリムが一番よ」
「やったー! アイリスのは一番小さいね。今度コツを教えてあげるねっ」
「楽しみにしているわね」

 すると彼が、アイリスの袖を引いてヴァンレックのほうを指差した。

「パパのは? アイリスの目から見て、どう?」

 かなり上機嫌になったらしい。競い合っていたことも忘れたみたいだ。

「え?」
「パパも上手でしょ? 僕に初めて雪だるまを作って見せてくれたのは、パパなんだ」
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