可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 アイリスはアリムに促されるまま顔を向けた。そこに立っていたヴァンレックが、何やらビクッと身体を揺らす。

 そんな彼の隣にある雪だるまの存在が、アイリスの目を引いた。

 確かにかなり上手だ。そしてアリムに雪を取られたり、彼の手前あまり注力しなかったようなのに、それでも左右の二人の雪だるまより頭が抜きん出ている。

 アイリスはじーっと見たのち、つい吹き出してしまった。

「旦那様すごいですね。私、こんなに大きな雪だるまを見たのは初めてです」
「っ」

 前世でも、そして『アイリス』の記憶にも、こんなに大きな雪だるまは見たことがない。

「じゃあアイリス、パパの雪だるまも合格? 気に入った?」
「とても気に入ったわ」
「やったねパパ! どっちの雪だるまもいいんだって!」

 アリムが嬉しそうに駆け寄ってハイタッチする。

 両手を掲げた彼に、何やら頬の下を赤く染めたヴァンレックが身を少し屈めて、自分の大きな手の指先をちょこんっと合わせる。

(あら、一緒にこうしっかりと遊ぶのは初めてだったみたい)

 今になって我に返ったんだろう。アイリスは、にこにことほほえましい気持ちで父と子の様子を見守る。

 すると、ヴァンレックの目がこちらを向いた。
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