可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「夫人も、いいだろうか?」
「え?」
「親子の時間なのだろう? なら、『母』も加わらないと。そうだろうアリム?」
「うんっ、アイリスも来て! 三人で一緒にしよう!」

 アイリスは『畏れ多くも失礼します』と内心呟きながら、アリムの身長に合わせて腰を屈め、彼とヴァンレックとハイタッチした。

 見守っていたブロンズたちが小さく拍手を贈ってくる。

(こ、これは恥ずかしいわね)

 大人になってまで、雪だるまを作って褒められるとは思っていなかった。

「アイリス、もう一つ作っちゃう?」
「アリムが風邪を引いてしまっては大変だわ」
「僕は平気だよ」
「アリム、鼻が赤くなっているぞ。屋敷に戻ろう」

 ヴァンレックが軽くアリムの鼻をつまむ。

 アリムが怒って、吹き出したヴァンレックにつられて、アイリスも笑った。

(楽しいわ)

 ヴァンレックも笑うんだなと思った。

「さあアリム、パパの言うことを聞いて、屋内に戻るわよ」

 ひとまずアリムを回収しよう。そう考えて一歩を踏み出したアイリスは、膝から力が抜けたみたいにかくんっときた。
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