可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
アイリスは言葉を切った。心配してそばに集まった騎士たちも動きを止める。
開いた玄関の前、振り返ったブロンズも『いったい何をやらかしたんだ』という青ざめた顔だ。
ヴァンレックがようやく足を止めてくれた。
だが、見つめ返してきた彼は、殺気をまとっているように感じる。
「アイリス」
「ふぁい!?」
噛んだ。初めて名前を呼ばれて、動揺したのも理由にある。
(そこまで不機嫌にっ?)
彼の金色の瞳は圧がすごかった。確かに『狼』の獣人だと言われると、狼大公と呼んでもよさそうだと納得す――。
「君は『夫人』だ」
「え、夫人?」
「まさか忘れてはいないよな?」
ヴァンレックがずいっと顔を寄せてくる。
「わ、忘れてはいませんが」
「君は、ヴァルトクス大公妃であり、ヴァルトクス大公夫人だ」
「そ、そうです」
「書類上は俺の妻だ。それなのに他の男に抱き上げるのを許すのは、変だと思わないか?」
「思います、思いますからっ」
彼の顔がぐんぐん迫ってくるので、アイリスは慌てて強く返事をした。
開いた玄関の前、振り返ったブロンズも『いったい何をやらかしたんだ』という青ざめた顔だ。
ヴァンレックがようやく足を止めてくれた。
だが、見つめ返してきた彼は、殺気をまとっているように感じる。
「アイリス」
「ふぁい!?」
噛んだ。初めて名前を呼ばれて、動揺したのも理由にある。
(そこまで不機嫌にっ?)
彼の金色の瞳は圧がすごかった。確かに『狼』の獣人だと言われると、狼大公と呼んでもよさそうだと納得す――。
「君は『夫人』だ」
「え、夫人?」
「まさか忘れてはいないよな?」
ヴァンレックがずいっと顔を寄せてくる。
「わ、忘れてはいませんが」
「君は、ヴァルトクス大公妃であり、ヴァルトクス大公夫人だ」
「そ、そうです」
「書類上は俺の妻だ。それなのに他の男に抱き上げるのを許すのは、変だと思わないか?」
「思います、思いますからっ」
彼の顔がぐんぐん迫ってくるので、アイリスは慌てて強く返事をした。