可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「こういうことがあったら、夫の俺が運ぶ。いいな?」
「はいっ」
「そして今回みたいに体力が要る遊びに関しては、俺を同行させること」
「分かりましたっ」

 どこまでその体力の範囲にかかってくるんですか? なんて軽々しく質問できる雰囲気ではなかった。

 そもそも早く顔を離してほしい。

(彼は、自分の顔が美しいことを自覚したほうがいいわっ)

 アイリスは両手で自分の顔を覆った。

「あっ」

 なんてヴァンレックの声が聞こえた。

 まるでアリムが『隠しちゃったっ』と残念がった時の声に聞こえたが、きっとアイリスの勘違いだろう。

 彼みたいなお人に、目の前で真っ赤になった女性の顔を見て楽しむ趣味なんて、ないだろうから。

 ◇∞◇∞◇

 目の前で赤面を晒してしまった。

 あれでは、美しい男に耐性がないとバレてしまっただろう。

(まぁ『悪女』と思われているんだから、男そのものに耐性がないとは思われないはず……)

 前世では、彼と同じ二十八歳だった。

 学生でもあるまいし、顔を赤くするなんて、恥ずかしくてたまらなくなる。
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