可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 大袈裟なことに、アイリスは私室に運ばれたのち医者の診察を受けた。

 ――体力がなさ過ぎてダウン。
 ――同じ理由から、肉体の保温が間に合わず身体も冷え切っている。

 という情けない結果を医者から聞いた時、アイリスは心の中で泣いた。

 まずは身体を心から温めたほうがいいということで、メイドたちに湯浴みに入れられた。

 疲弊しきった筋肉をほぐそうと彼女たちが最高のマッサージもしてくれた。極上のリゾート地でゆっくりしているような罪悪感が込み上げたが、ヴァンレックの指示でもあるという。

 続いて、コックたちがやってきて体が温まる軽いスープをくれる。

「日頃から無茶をしていたので心配だったんですっ」
「こんな時がいつか来るだろうと思っていましたっ」
「…………」

 彼らにもアイリスが隠そうとしていた体力のなさは、バレバレだったようだ。

 でも――。

(こんなに、心配してくれていたなんて)

 アイリスの頭にすぐ浮かんだのは『悪女』という自分のレッテルだった。そのせいで純粋な好意に気付くのに遅れた。
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