可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
(まぁ、アリムの性格がいいのは私も分かってはいるけれど)

 するとアリムが、パッとヴァンレックのほうを振り向く。

「僕は泣かせてないよ! ほっとしたら、涙が出ちゃったみたいなんだ」
「ほっとした?」
「体力がないのはアイリスのせいじゃないよ。元いた家で、あまり歩かせてももらえなかったこと、恥ずかしくて言えなかったんだって」

 アリムが、抱き締めているアイリスの頭をよしよしと撫でる。

「――ほぉ」

 不意にヴァンレックの目が坐った。彼のまとう空気が一気に冷たいものに変わり、アイリスはビクッと反応してしまう。

 どういうことだろうかと、上に向いた彼の鋭い目が思案しているように感じる。

(え、え? どうして? 子育てで置かれているだけでし、離縁予定なんだから私の実家のことは関係ないわよね?)

 ヴァンレックの目がアリムへと戻った。

「その話、あとで詳しく聞こう」
「僕もパパに話したいと思っていたところ」

 アリムがにっこりと笑顔で答えた。気のせいか、彼の目は子供らしくなく笑っていない気がする。
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