可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 大公先教育なんて、アイリスには不要だ。

 彼女はあくまで〝一時的なお飾りの妻〟なのだ。ブロンズはさすがに主人から事情は聞いているはずだろう。

「手間をかけさせてしまいますし……」

 思いを込めて上目遣いに見つめ返すと、ブロンズが容赦なく視線の圧を強めた。

「旦那様からも、ぜひ進めてはどうかと返事をいただいております。わたくしも、するべきだと考えています」
「えー!」

 それでは、始めから決定事項なようなものではないか。

「わたくしも旦那様も、人族の中でも激弱だと奥様が気にされていることへの改善について、ご協力をしたいと願っているだけなのです」
「うっ」

 激弱、という今大変気にしているキーワードを他人から口にされると、威力が大きい。

「そのため大公妃教育という側面から、と徹夜で計画書を作成したのですが――」
「やりますっ、やらせてください!」

 視線を意味深にそらしたブロンズに、同情心が湧いてアイリスはそう瞬発的に答えていた。
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