可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 いちおうはヴァンレックの妻という立場ではあるが、アイリスがアリムの教育に口を出せるはずもない。

 あくまで子育て係だから、時間割りに従うだけだ。

(でも、大公様はやっぱり我が子には甘いのね。アリムの希望をきちんと聞いて進めているだなんて)

 今は、ヴァンレックがいない状況でもアリムは使用人たちと意思疎通をはかれる。彼も安心してアリムの勉強を再開できるはずだ。

「あ、それならダンスはっ?」

 唐突に聞こえたアリムの声に、アイリスはぎくりとする。

「ダンスだったら運動だし、アイリスの体力作りにいいんじゃないかなっ、どうっ?」

 きらきらの目を向けられて、大変困った。

「アイリス?」

 珍しく目を合わせないと感じたのだろう。アリムが心配したように正面に回ってきて、アイリスと目を合わせてきた。

「あの、えっと……ダンスはたぶん、無理だと思うわ」

 アイリスはとうとう白状する。

「どうして?」
「子供の頃に基本を数回習っただけというか……とにかく、全然だめなの」

 記憶を辿ってみたら、ダンスを受講できたのは、まさかの子供の時に始まる貴族教育の頃だ。
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