可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「団長、いえ大公様から追加で言伝がありますー!」
「追加?」
「大公妃教育の順番ですが、まずはダンスの授業はどうかとご提案されています」
「えーっ」

 叫んだアイリスに続いて、プロンズが「ならば決定ですね」と話し合いを締めた。

「それでは旦那様のもとに許可を取りに行きましょう。準備することもたくさんあります。アリム様に差し支えのない日程も組み込んでいかなければ」
「僕も協力するよ!」
「心強いです。しかし遊ぶこともアリム様にとっては必要な勉強でございます」

 そんなブロンズとアリムの会話を聞いて、騎士のほうも安心したみたいだ。

「奥様がいらしたほうが大公様も喜ぶと思いますよっ。がんばってくださいねっ、応援してます!」

 彼はいい笑顔で言い残すと、また走って出ていった。

(……アリムに続いて大公様まで? いったいどうなっているの?)

 家に置いてくれている権力者の提案を、断れる身ではない。


 それから一時間もかかっていない頃、アイリスは高速着替えの三着目の試着品で、すでにぐったりしていた。

「まぁ! ほんと大公妃様はなんでも着こなせてしまいますわね! 着せ甲斐もありますわ~」

 目の前にいるのは、王都にも顧客が大勢いるという有名な仕立て屋の女性デザイナーだ。

 彼女は王家、ヴァルトクス大公家にも御用達を受けている。

 あの超絶似合うアリムの衣装を作った店であると聞いて、腕の良さはアイリスもなるほどとは納得した。

(――いやでも私っ、本気でダンスは無理だと思うのっ)
< 153 / 381 >

この作品をシェア

pagetop