可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 ヴァンレックが子供と同じくらい今はアイノスの面倒を見たがっているのでは、とメイドたちがこっそり話しているのを聞いた。デザイナーが持ってきた荷物のドレスを取り出す手伝いを、かなりうきうきと自主的な様子で手伝っている。

「こちらの見本はそのまま調整かけて、奥様用に仕上げるほうがよいですわね」
「えっ、あの、お店の大事な見本――」
「大変似合っているのに、売らないほうがもったいないですわ! 大公妃としての社交デビューでは、ぜひこのスタイルでいきましょうっ! 奥様を休ませている間に数着ほど同系列のデザインをご提案させてください。ああっ、インスピレーションが止まりませんわ! さいっこうの逸材!」
「あの――」

 デザイナーはスケッチブックを持ち、ささっと書き込む。

「いったん休憩でよろしいですわ」
「かしこまりました」

 指示を受けたメイドたちが素早く歩み寄り、アイリスの手を左右から取って、ソファに座らせる。体力面を気遣うようにと指示は受けているようだ。
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