可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 ドレスのお礼を改めて言う機会であるし、実際に実物の一つを見せたほうが報告にもなるのは分かっている。

 でも、そわそわと落ち着かない気持ちになるのだ。

「ねぇ、変じゃない? こういうドレスは着たことがなくて……」

 あとは第二サロンで、ダンスの講師の到着を待つばかりとなった。

 そこはグランドヒアノが置かれている他はひらけていて、ダンスの練習にもじゅうぶん広さがある場所だ。

「とてもよくお似合いですわ! もっといろんなドレスを着せて飾りたいです!」
「今回は化粧まで仕上げられて大満足でございましたっ。もっとこのような機会がほしいですっ!」
「同性でもうっとりしてしまうほどですよ!」
「ドレスに合わせてもっと凝った髪型もしてみたいです!」
「あ、ありがとう」

 メイドたちの勢いが怖くて、アイリスはお礼を告げて話を終わらせた。

(講師の方とうまくできればいいのだけれど)

 ここにいると忘れそうになるが、王都の社交界では悪女だと噂されていた。踊れず壁際に立っていただけなのに、見目だけでみんな家族の〝嘘〟を信じたのだ。
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