可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「――ご到着されました」

 そんなブロンズの声が出入り口から聞こえた時、アイリスはてっきり、講師のレベッカ伯爵夫人が来たのだと思った。

 慌てて姿勢を正し、ふわふわしたスカートを両手で持って振り返る。

 そして先手必勝で歓迎の微笑みを浮かべて見せた。

「ようこそいらっしゃいませ、伯爵、ふ、じん……?」

 ブロンズが連れてきた人を見て、アイリスは固まる。

 そこにいたのはヴァンレックだった。彼は、どこかぽかんとした様子で立ち止まっている。

(……ど、どうして彼がっ)

 アイリスの心臓がどっと緊張の音を上げた。

 見るのは授業の様子のはずなのに、どうして一番手に来るのか。

 愛想笑いをした相手が大公様だったとか、恥ずかしすぎる。

(男に媚びているような笑顔に見えなかったかしら? 大丈夫? せっかく仕事面では認めてもらえていたのに、嫌な感想を抱かれたらどうしよう!?)

 これまでずっと気を付けていたのに、やらかしてしまった。

「…………」
「…………」
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