可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「急に触れたりしてすまなかったっ」
「い、いえっ、私こそ取り乱してしまってっ」

 なんだかこそばゆい。でも、言わないと。

 視線が逃げてしまったアイリスは、勇気を奮い立たせて上目遣いに彼を見た。ヴァンレックが唇にぐっと力を入れる。

「素敵なドレスを、ありがとうございました」
「っ、うん、よく似合う……いいと思う」

 彼は顔をふいと背け、首の後ろを撫でながらぎこちなく言った。ブロンズとメイドたちが緩みかけた口元を、へんなふうに曲げる。

(なんだか彼、緊張してる……?)

 でも、それは自分も同じだとアイリスは思い至る。会話が途切れると、なんとも気恥ずかしい空気に包まれた。

「そ、そういえばっ、アリムに感想をもらう前でしたので緊張していたんです」

 妙な空気を変えたくて話題を探し、言った。

「練習用の衣装が悪くなかったようで、よかったです。せっかく用意してもらったドレスですし、それなりに見えるようダンスをがんばりますね」

(自信はまったくないけど)
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