可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「まぁ、なんて素直そうなお反応なの」

 と声をもらしたレベッカ伯爵夫人が、素速く自分の口を手で塞いだ。

「国王陛下に、ですか……?」
「そうだ。俺には不要だと、剣と礼儀作法だけでいいと言ったんだが、兄上は『リードできるくらいダンスも習得していて損はない』と告げ、逃げ回る俺を何度も捕まえにきた。それで正解だったのだと今、実感した」

 彼の眼差しが急に柔らかくなる。

 アイリスは、どきっとした。

「俺がいる。アイリスの練習相手になろう。講師と俺の二人で進めていけば、きっと習得も早い。こう見えてダンスは得意なんだ」

 女性を嫌がっていたという噂だから、相手はまさか国王なのだろうか。

 想像が浮かんで少し好奇心が沸く。

 けれどそれ以上に、アイリスは優しく微笑みかけてくるヴァンレックに、自分の胸が甘く高鳴っているのを感じていた。

「……お、お時間を取ってしまいますのに」
「気にしなくていい。俺がしたくてしている。相手役を、任せてくれ」
「っ」
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