可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「んなっ――」
「君は、ダンスの『目を合わせる』から始めなければならないな」
彼は自分の顔がいいことを自覚すべきだ。先程怖いと感じた一般的に知られているほうの姿を隠すと、ただただいい人にしか見えない。
いや、ただただ素敵な一人の男性に、だ。
(あ、あぁあぁあ、まずい)
ヴァンレックがきらきら輝いて見える。今、自分は考えも追いつかないくらい動揺しきって、恥ずかしい赤面を晒しているはずだとアイリスは分かった。
「奥様、よかったですわね」
レベッカ伯爵夫人が、そばからふふっと告げてきた。近くで待機しているブロンズも、その向こうにいるメイドたちも。出入り口で警備しているらしい二人の騎士もなんだかアリムを見守るような目を向けている。
「くくっ、君は本当に全部顔に出るんだな。アリムと初めて遊んでいた時と同じだ」
「だ、旦那様っ、意地悪なことを言わないでくだいっ」
赤面のことを言っているのだろうか。
こっちはいっぱいいっぱいなのに、そんな大人の余裕をかましてこないでほしい。魅力的でアイリスの心臓の音はうるさいままだ。
「アリムのことなら問題ない。アイリスのことなら、きっと喜んで協力してくれるだろう。君が心配するというのなら、ここへ来る前に俺がアリムのもと訪ねる――それでどうだ?」
「……悪くない提案ですね」
アイリスがダンスを習うことによって、思いがけずヴァンレックとアリムの接する時間が増える。父と子の時間を作っていく計画だったので、いい条件だ。
「それでは旦那様、もう一つ『無理のない範囲で付き合う』ということも条件に盛り込んでください。旦那様が大丈夫なのか、心配になりますから」
「分かった。無理のない範囲で、相手役を努めよう」
またしても彼の表情が柔らかくなる。
(私はアリムではないのだけれど?)
意識しないよう、アイリスはつい心の中で可愛くない反論をした。
「君は、ダンスの『目を合わせる』から始めなければならないな」
彼は自分の顔がいいことを自覚すべきだ。先程怖いと感じた一般的に知られているほうの姿を隠すと、ただただいい人にしか見えない。
いや、ただただ素敵な一人の男性に、だ。
(あ、あぁあぁあ、まずい)
ヴァンレックがきらきら輝いて見える。今、自分は考えも追いつかないくらい動揺しきって、恥ずかしい赤面を晒しているはずだとアイリスは分かった。
「奥様、よかったですわね」
レベッカ伯爵夫人が、そばからふふっと告げてきた。近くで待機しているブロンズも、その向こうにいるメイドたちも。出入り口で警備しているらしい二人の騎士もなんだかアリムを見守るような目を向けている。
「くくっ、君は本当に全部顔に出るんだな。アリムと初めて遊んでいた時と同じだ」
「だ、旦那様っ、意地悪なことを言わないでくだいっ」
赤面のことを言っているのだろうか。
こっちはいっぱいいっぱいなのに、そんな大人の余裕をかましてこないでほしい。魅力的でアイリスの心臓の音はうるさいままだ。
「アリムのことなら問題ない。アイリスのことなら、きっと喜んで協力してくれるだろう。君が心配するというのなら、ここへ来る前に俺がアリムのもと訪ねる――それでどうだ?」
「……悪くない提案ですね」
アイリスがダンスを習うことによって、思いがけずヴァンレックとアリムの接する時間が増える。父と子の時間を作っていく計画だったので、いい条件だ。
「それでは旦那様、もう一つ『無理のない範囲で付き合う』ということも条件に盛り込んでください。旦那様が大丈夫なのか、心配になりますから」
「分かった。無理のない範囲で、相手役を努めよう」
またしても彼の表情が柔らかくなる。
(私はアリムではないのだけれど?)
意識しないよう、アイリスはつい心の中で可愛くない反論をした。