可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 湯浴みのあと、ナイトドレスにガウンを羽織り、自分のメイドたちと共に彼の部屋へと向かったのだ。

 メイドたちがテーブルのティーセットの片付けに入る。

 室内の明かりが一つずつ弱められ、ベッドサイドテーブルのランプが灯された。

「僕もその場にいたかったなぁ」

 ベッドの枕を、うつ伏せの姿勢で抱き締めたアリムが今日何度目か分からないことを言った。

(そうとう来たかったみたい……)

 アイリスはベッドの端に腰かけて、彼の頭を撫でながら微笑みかける。

「足を踏まないくらいになったら一緒にしましょうね。できるだけ早くコツを掴めるようにがんばるわ」

 あのあと、ヴァンレックと二人でアリムの勉強部屋を訪ねてドレスを披露した。ついでに彼の講師にいちおう『母』として挨拶をと考えていたのだが、初めて入った本がたくさんあるその部屋には、出払っていたのかブロンズの姿以外はなかった。

 ダンスが始まって姿が見えなくなったと思っていたら、ブロンズはアリムを見ていたようだ。講師が離れた際には自分がつく、という彼の返答にアイリスは安心した。
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