可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 アイリスは素早く彼に詰め寄った。ビクッとしたアリムだったが、彼女が目の前でしゃがむと、きょとんとする。

「いくつ?」
「ろ、六歳、です」

 彼は二本の小さな手を使って、指を六本立てて見せてきた。

(めちゃくちゃ可愛いわ!)

 手が小さい。近くで見たアリムは目が大きく、肌が白いからグリーンの瞳の色さえ神の作り物みたいだ。そして頭の獣耳も可愛すぎる。

(大公様は恐ろしいお方らしいけど、この子、可愛すぎ! 私、美人なこの子のお母様が来られるまで、代わりの子育て係に就職したいわっ)

 突然アリムが「そ、それじゃっ」と言って来た道を走る。

「あっ、待ってっ」

 アイリスも、もちろんためらいなく駆ける。

「えぇー! 奥様!?」

 驚いたブロンズの声が追いかけてくるが、関係ない。

「どこへ行くのっ?」
「な、なんでレディなのに走るのっ」
「あら、レディでも走りますよ?」

 ――この『アイリス』の身体が、基礎体力があるのかどうかは不明だが。

 前世の感覚で走っていたアイリスは、ふっと思い出したが、体力云々はあとで確認してみようと考えた。
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