可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「おやすみ、アリム」
「えへへ、毎日こうされたいなぁ」
「パパとの時間を取ってしまうのは申し訳ないから……」

 今夜は特別だ。

 発端が自分なだけに、ヴァンレックもアイリスが食卓で就寝のことを提案した時、断れなかったようだった。

 彼は『頼む』と、苦渋の選択みたいな声を出していた。

(今夜だけでも申し訳なさがすごかったわ)

 ヴァンレックにとっては、息子と過ごせる貴重な時間の一つだったことだろう。

 本当にいいパパだ。素敵だと思――。

(――って、違う! 私は別に意識してはないからっ)

 アイリスは、アリムの上にかけた掛け布団を意味もなく直しながら、自分の心に慌てて言い聞かせる。

「パパが悩んでいたのはたぶん、アイリスと一緒に行っていいのか、言おうとしたんじゃないかなぁ」

 なんてアリムがちらりと言ってきたが、アイリスは気に留めず、寝る子はよく育つのだからと言って寝付かせにかかったのだった。

 ◇∞◇∞◇

(彼女もそろそろ、アリムのところを出た頃か?)

 静まり返った寝所で、ヴァンレックは眠れずベッドを背に机に腰かけていた。
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