可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「何か、できることってないのかしら」

 いずれアリムだって、同じように獣の姿に変身――つまりは【獣化】するのだろう。

(このままでいいわけないわ)

 そう思うものの、それはただ自分の感情論だとも自覚してはいた。

 方法があれば騎士たちだって、こんなつらそうな表情はしないだろう。

「何も」

 一人の騎士が間もなく、ためらいがちにそう答えてきた。

「団長が自我をなくしてしまった時、唯一頼ってくれるのは俺たちなんです。ですから俺たちは、団長が〝願っていること〟を叶えると自信たっぷりに答えて、安心させてやることしかできません」
「そう……正直に話してくれて、ありがとうね」

 ヴァンレックは彼らがいて、支えられていることだろう。

 アイリスは、ヴァンレックの兄である国王が、彼にしつこかったというエピソードの理由が理解できた気がした。彼が人を寄せ付けないだけ、兄は愛情たっぷりに接しようと決めていたのだ。

 そして獣人族の騎士たちは仲間としてヴァンレックを支えている。
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