可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
(零時か……まだまだ長いわね)

 身を丸くして目を閉じる。この身体でそんな時間まで起きていたことはないから、今になって少し気になった。

「ねぇヴァンレック様、私、深夜まで起きていたことがないんです。ですから……」

 零時までお喋りに付き合ってほしいと告げようとした。

 見上げて、アイリスは首を傾げる。

 鉄格子の向こうを見ているヴァンレックは、何やらそわそわと落ち着かない様子である気がした。姿が大きな狼であるせいで、表情の微妙な変化などは感じられないが。

(あ。獣化を見られて、気にしてるのかな?)

 いまさらになって、ふと思い至る。

「すみませんヴァンレック様、そのお姿は全然素敵ですよ」
「えっ」

 狼の顔が、素早くこちらを見下ろしてきた。

「大きくて驚きました。とてもかっこいいです」
「か、かっこいい……!」
「そしてふかふかで素晴らしいです。大変好みです」
「こ、好みだと……!?」
「はい。こんなもふもふで極上なふわっふわ、他に知りません」
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