可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「聞いていて面白い話ではないと思いますけど、私は生まれた時に母の不貞を疑われる材料になったみたいです。父も母も、その上にも『赤い髪』はなかったようで、髪色が違うことから、父は私を自分の子ではないという考えが今も抜けていなくて」

 正統性を主張しながらも、父に捨てられたくないと必死だったのか。それとも本当に〝そんなこと〟があったのか、母はアイリスを露骨に嫌った。

 父も侯爵令嬢という扱いはしなかった。

 幼少期から始まった令嬢教育、ダンスの授業が二、三回だったのもそのためだ。

 自分でドレスを選んで買ったことはなく、家族のプライベートな外出に付き合った記憶もない。

 親族が呼ばれてパーティーが開かれた時は、部屋にいた。

 そう話すと、ヴァンレックは驚いたようだった。包み込んでくれている尻尾が強張るのを感じて、アイリスは穏やかな手でぽんぽんと叩く。

「気にしていません。でも、このドレスを着なさい、今は部屋にいなさい、その全部の言うことを聞いていれば、いつかは……という希望を打ち砕いたことは、今も許していません」
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