可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 家族は『アイリス』の心を、とうとう殺してしまった。

「実は、縁談の話が来ていたそうです。ライノーアル伯爵という方から」

 ヴァンレックの身体が、ぴくっと反応する。

「ライノーアル伯爵……最近、君の妹と婚約した?」
「ああ、婚約したんですね」

 興味がないので、新聞や雑誌は見ていなかった。自分の結婚について好き放題どう書かれているのか、わざわざ知りたいとも思わない。

「そのお方のことは顔さえも分からないのですが、私との見合いを希望したらしいんです。妹は彼のことを気に入ったようで、邪魔だから追い出すことにしたみたいです。陛下に臣下として貢献もできるし、他の貴族たちにも恩を売れるし――妹の身代わりに、そして侯爵家のために最後くらいは役に立てと言われました。私は帰りたくありませんでしたから、しばらくココに置いてくださると分かった時は、ホッとしたんです」

 アイリスは、ふと、低い呻り声が聞こえてハタと我に返った。

 語りすぎてしまった。
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