可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 ふふっと彼が笑う。

 狼の横顔なのに、優しく微笑んでいるのがアイリスには分かった。

「彼の支えになりたいと思った。でも、今は、君にもそう感じている」
「え? 私?」
「そうだ。君は幸せになるのが目標だと言った。そのためなら、なんでもしよう」

 彼が人の姿だったら、きっと勘違いしていただろう。

「なんでも、なんて言ってはいけませんよ。初めての満月の夜を過ごしだけですし、まぁこれからは毎回ご一緒するつもりですけど。どんな要求をされるか分かりませんから『なんでも』と、気軽に口にしてはだめです」

 前世で学んだことだ。アイリスは、そんな心配になる『大公様』のほうを見て、我慢できず笑ってしまった。

「ヴァンレック様は大きな狼の姿も持っているのに、優しすぎますね。そんなんじゃ、全然怖くありません。次もご一緒していいんですよね?」

 名前を呼んで、会話する。

 この調子であればきっと暴走はしない。アイリスはそう感じた。

「……ああ、ありがとう」
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